バイオDX

環境微生物等の細菌叢・機能解析

16S rRNA・ITS アンプリコン解析からショットガンメタゲノム、MAG 構築まで、腸内環境、排水処理、環境モニタリングなど産業応用に向けて微生物群集の構造と機能を解明します。

サービス概要

シーケンシングとバイオインフォマティクス解析を組み合わせ、微生物群集の構成と働きを調べます。細菌、真菌、未培養微生物まで、お客様の目的に応じた手法を選びます。

1. 16S rRNA アンプリコン解析

環境、食品、腸内などの細菌群集の構造を明らかにします。

こんな方に:

  • 発酵槽や処理槽の細菌叢の構成を把握したい
  • 腸内細菌叢の変化を処理群と対照群で比較したい
  • 土壌や水質など環境サンプルの微生物を評価したい

主な解析内容: 細菌叢プロファイリング(OTU[Operational Taxonomic Unit]または ASV[Amplicon Sequence Variant]ごとの集計表、組成プロット)、多様性解析(α多様性、β多様性、非計量多次元尺度法[NMDS])

オプション: 群間比較(主座標分析[PCoA]による可視化、並べ替え多変量分散分析[PERMANOVA]による検定、LEfSe による差異菌種の同定)、環境因子との相関解析、経時変化解析

2. ITS 領域解析

rRNA 遺伝子の間にある ITS(Internal Transcribed Spacer)領域を読み、真菌(カビ、酵母)の群集構造を明らかにします。

こんな方に:

  • 試料に含まれる酵母やカビの組成を把握したい
  • 土壌真菌群集の多様性を評価したい
  • 細菌と真菌の両方を同時に解析したい

主な解析内容: 真菌群集プロファイリング、多様性解析、16S 解析と組み合わせた細菌との同時解析

オプション: 環境因子との相関解析、経時変化解析

3. ショットガンメタゲノム解析・MAG 構築

アンプリコンに頼らず、群集の DNA をショットガンシーケンスで読み、分類と機能の両面から解析します。

こんな方に:

  • 群集の分類組成だけでなく、代謝経路などの機能も知りたい
  • 培養できない微生物のゲノムを再構築したい
  • 環境中の未知の微生物や機能を探索したい

主な解析内容: 分類学的・機能的プロファイリング、代謝経路解析、de novo 遺伝子予測、MAG(Metagenome-Assembled Genome)の構築と機能推定

オプション: 環境因子との相関解析、経時変化解析

プラチナバイオのアプローチ

産業応用のための細菌叢解析には、標準レポートでは答えが出ない問いがあります。排水処理の運転管理、腸内環境の評価、環境モニタリングのどれをとっても、産業現場の解析は細菌叢プロファイルを出して終わりにはならないためです。

プラチナバイオは伴走型のカスタム解析で、サンプリング設計から解析手法の選定、結果の解釈まで、お客様の産業課題に合わせて進めます。

ヒアリングで解決できること

お客様の課題プラチナバイオの提案例
どのサンプルや時点を取るべきかわからない目的に応じたサンプリング設計の提案
検出された菌の意味がわからない産業文脈での機能解釈と文献調査
群間差はあるが、どの菌が重要かわからないLEfSe などによる重要菌種の同定と優先順位付け
結果を製品開発や品質管理に活かしたいアクションにつながるレポートと継続支援

プラチナバイオの強み

強み内容
伴走型カスタム解析産業課題に応じて、サンプリングから解釈まで一貫して設計
GTDB 採用ゲノム系統にもとづく分類体系 GTDB(Genome Taxonomy Database)を参照体系として使用
全長 16S 対応ロングリード(PacBio HiFi)で 16S rRNA 遺伝子の全長を読み、配列の違いが十分なら種レベルまで同定
アンプリコンからメタゲノムまで16S、ITS、ショットガンメタゲノム、MAG 構築を目的に応じて選択
広島大学との共同研究講座共同研究講座バイオDX研究室(大学院統合生命科学研究科 坊農 秀雅 教授)との共同研究で開発した手法を適用

GTDB を使う理由

細菌と古細菌の分類には、学名にもとづく体系(NCBI Taxonomy など)と、ゲノム配列の系統関係から分類単位を定める GTDB(Genome Taxonomy Database)があります。下の表は、NCBI Taxonomy の学名の付いた属と種の数と、GTDB の属と種の数(仮の名前の分類単位を含む)を並べたものです。数え方の基準が異なります。

レベルNCBI Taxonomy(学名の付いた分類単位、2026年9月時点)GTDB R232
属6,28437,503
種30,438199,923

NCBI Taxonomy の種は、二名法の学名を持つものだけを数えています。「Bacillus sp.」のような仮の名前で登録された種(約 53 万件)は含めていません。

学名が付いている微生物は、培養できたものに大きく偏っています。環境中の微生物の多くは培養が難しく、学名を持ちません。GTDB はゲノム配列から分類単位を与えるため、学名のない微生物も参照体系に含まれています。

出典: GTDB Release 232 統計 / NCBI Taxonomy 統計

対応サンプル

カテゴリこれまでに扱った試料
ヒト糞便、唾液、腸粘膜、腸液、膣スワブ
環境土壌、環境水、し尿や排水の処理槽
産業プロセス、培養メタン発酵槽、微生物の集積培養

記載のない試料にも対応できる場合があります。お気軽にご相談ください。

対応技術

手法シーケンスプラットフォームリードの種類同定レベル主な用途
16S rRNA 全長アンプリコン(V1〜V9)PacBio(HiFi)ロングリード種レベルまで種レベルでの比較
16S rRNA 全長アンプリコン(V1〜V9)Oxford Nanoporeロングリード種レベルまでコストを抑えた中規模プロジェクト
16S rRNA アンプリコン(V3〜V4)Illuminaショートリード属レベル大規模スクリーニング
ITS アンプリコンIlluminaショートリード属レベル真菌(カビ、酵母)の群集
ショットガンメタゲノムIlluminaショートリード分類と遺伝子の働き分類と機能のプロファイリング
ショットガンメタゲノムPacBio(HiFi)ロングリード分類と遺伝子の働きMAG 構築

提供プロセス

  1. お問い合わせ — 目的に合った解析方法についてご提案します。
  2. サンプリング・DNA 抽出(想定 1〜2 週間) — サンプリング戦略の策定、環境サンプルの収集、高品質 DNA 抽出・品質評価
  3. シーケンシングデータ取得(想定 2〜3 週間) — 16S rRNA 全長アンプリコン、ショットガンメタゲノム(ショート/ロングリード)から選択
  4. データ解析・微生物叢プロファイリング(想定 3〜4 週間) — 分類学的・機能的プロファイリング、MAG(Metagenome-Assembled Genome)構築、環境因子との統合解析
  5. 結果解釈・レポート作成(想定 2〜3 週間) — 微生物群集の構造・機能の解釈、生態学的考察、カスタムレポート作成、今後の研究戦略の提案

ヒアリングでは、お客様のサンプルの種類、解析目的、予算をお伺いし、目的に合った手法と解析プランをご提案します。

プラン・料金

16S rRNA アンプリコン解析(ショートリード)

30,000円〜(税抜・1 サンプル) / 納期: 1 ヶ月

V3〜V4 領域を対象に、多検体を低コストで属レベルまでプロファイリングします。

16S rRNA 全長アンプリコン解析(ロングリード)

35,000円〜(税抜・1 サンプル) / 納期: 1 ヶ月

16S rRNA 遺伝子の全長を読み、データが許す範囲で種レベルまで細菌叢を調べます。

ショットガンメタゲノム解析(ショートリード)

56,000円〜(税抜・1 サンプル) / 納期: 1 ヶ月

菌の分類に加えて、遺伝子の働きまで調べます。

ショットガンメタゲノム解析(ロングリード)

65,000円〜(税抜・1 サンプル) / 納期: 1〜2 ヶ月

ロングリードで群集の DNA を読みます。MAG 構築は内容に応じて個別にお見積りします。

受託事例

費用はプロジェクトの内容により異なります。以下の事例を参考に、お気軽にご相談ください。

解析メニュー事例サンプル規模費用参考(税別)
細菌叢解析(全長 16S)環境試料の細菌叢の経時モニタリング約90 サンプル約210万円〜
細菌叢解析(全長 16S)ヒト腸内細菌叢の群間比較約60 サンプル約180万円〜

※ シーケンス費用込み。サンプル数、解析内容、オプションにより変動します。

関連する取り組み: メタゲノム解析で実現する次世代し尿処理(東広島市のし尿処理施設での実証)

納品物

お渡しするのは、結果をまとめた解析レポートと、その根拠になるデータ一式です。データは解析の工程ごとにフォルダで整理し、ハードディスクまたはクラウドストレージでお渡しします。社内で再解析したり、別の解析会社へ引き継いだりできる形にしています。

解析レポート(PDF、HTML)

シーケンシングをどう行い、どんなデータが取れ、どう解析し、何が分かったかを 1 冊にまとめます。結果はサンプルの組や分類の階層を切り替えて画面上で見られます。

どの案件でもお渡しするもの

  • シーケンサーから出た生データと、データが壊れていないことを確認するための照合用の値(ハッシュ値。確認の手順は note 記事「納品ファイルのハッシュ値を確認する方法」)
  • データの量と品質の確認結果
  • 解析に使ったソフトウェアとデータベースの一覧(後から同じ解析を再現するための記録)

菌の種類と割合を調べた場合(16S rRNA、ITS アンプリコン解析)

  • サンプルごとに、どの菌がどれだけいるかの一覧(目から種までの各階層。データが許す範囲まで)
  • 割合を一目で比べられる図(積み上げ棒グラフ、サンプルごとの円グラフ)
  • サンプルの中の菌の多様さと、サンプルどうしの似ている度合いの数値(Excel)
  • 細菌と古細菌については、学名のある菌だけで分類した結果と、ゲノム系統の分類体系 GTDB で分類した結果の両方(ご希望に応じて)

菌の働きまで調べた場合(ショットガンメタゲノム、MAG 構築)

  • 菌の種類に加えて、どんな遺伝子や代謝の働きを持つかの一覧
  • 培養できない菌のゲノムを再構築した配列と、その完成度の評価

ご要望に応じて

  • 採取場所や時点ごとに並べた比較表(Excel)。時系列の変化や地点ごとの違いを追えます
  • 条件の間で有意に違う菌の絞り込み(LEfSe)と、群集全体の違いの検定(PERMANOVA)
  • 菌の構成から働きを推定した結果(PICRUSt2 など)
  • 系統樹、環境の測定値との関連解析

よくある質問

Q: GTDB を使うメリットは何ですか?

A: ゲノム配列から分類単位を決める体系のため、学名の付いていない未培養微生物も参照体系に含まれています。そのため、土壌や処理槽のように未培養微生物の多い試料に向いています。

Q: サンプルの必要量は?

A: 土壌約 0.5 g、糞便約 0.2 g、液体約 10 mL が目安です。サンプルの状態や解析目的によって異なるため、詳しくはご相談ください。

Q: 真菌も解析できますか?

A: はい。ITS 領域のシーケンシングでカビや酵母の群集解析に対応します。16S 解析と組み合わせれば、同じ試料の細菌と真菌をあわせて解析できます。

Q: 全長 16S と V3-V4 の違いは何ですか?

A: 全長 16S(ロングリード)は種レベルまで同定できる場合がある一方、コストも高くなります。V3-V4(ショートリード)は属レベルの同定ですが、大量のサンプルを低コストで処理できます。目的に合った方法をご提案します。

Q: アンプリコン解析とショットガンメタゲノムはどう使い分けますか?

A: 群集の構成を知りたい場合はアンプリコン解析、どんな遺伝子や代謝経路を持つかまで知りたい場合や未培養微生物のゲノムを再構築したい場合はショットガンメタゲノムが向いています。目的とご予算に合わせてご提案します。

Q: 大量サンプルの割引はありますか?

A: 大規模プロジェクトの料金は、検体数と解析内容に応じて個別にご案内します。お問い合わせください。

Q: 社内にバイオインフォマティクスの専門家がいませんが大丈夫ですか?

A: はい。解析結果の解釈から製品開発や品質管理への応用まで、伴走型でサポートします。

Q: 納品後に追加解析はできますか?

A: はい。追加の解析、可視化、他サンプルとの比較などにも柔軟に対応します。

Q: 納期はどれくらいですか?

A: 手法、サンプル数、解析内容によって変わります。ヒアリングの際に、プロジェクトごとの見込みをお伝えします。

Q: 費用の見積もりだけでも可能ですか?

A: はい。ヒアリングで概算見積もりをご提示します。

お問い合わせ

細菌叢解析やメタゲノム解析のご相談やお見積もりは、お問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。

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