カーボンリサイクルのサプライチェーン構築に向け実証開始 ―ツネイシカムテックス、ファイトリピッド・テクノロジーズ、プラチナバイオ、リバネスが連携し、排ガスを活用した「低コスト種藻」生産モデルを確立へ:2025-11-27
- PtBio Inc.

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プラチナバイオ株式会社(所在地:広島県東広島市、代表:代表取締役CEO 奥原 啓輔、以下「PtBio」)は、ツネイシカムテックス株式会社(本社:広島県福山市、代表:代表取締役社長 神原 文雄、以下「ツネイシカムテックス」)、株式会社ファイトリピッド・テクノロジーズ(本社:神奈川県横浜市、代表:代表取締役CEO 太田 啓之、以下「PLT」)、株式会社リバネス(本社:東京都新宿区、代表:代表取締役社長COO 髙橋 修一郎、以下「リバネス」)と共に、ツネイシカムテックスの焼却炉から生じる排ガスを活用し、微細藻類ナンノクロロプシスの屋外培養を行い、「低コスト種藻」生産モデルの確立を目指す実証プロジェクト(以下「本プロジェクト」)を開始しました。

本プロジェクトは、リバネスが令和4年度から委託を受けて進めている「広島県カーボンリサイクル関連技術研究開発支援事業」において、ツネイシカムテックスが採択を受けたプロジェクトの一環として実施するものです。
■これまでの背景とプロジェクトの成果
広島県福山市を拠点に廃棄物処理・リサイクル事業を展開するツネイシカムテックスは、脱炭素化と資源循環型社会の実現を経営の重要課題と捉えています。この課題に対し、令和5年度より「広島県カーボンリサイクル関連技術研究開発支援事業」の採択を受け、PLT、PtBio、リバネスと共に、CO2を吸収して有用物質を生産する微細藻類ナンノクロロプシスの培養研究を進めてきました。
これまでの研究(令和5・6年度)では、実験室レベルでの培養条件の検討を進め、焼却炉の排ガスを直接吸収させた培養液においてナンノクロロプシスの順化現象を発見しました。さらに、この順化に関連する遺伝子の網羅的同定を行い、実用化に向けた重要な生物学的知見を獲得しました。並行してツネイシカムテックスの敷地内で行った実排ガスを用いた培養試験では、培養液のpH変化、酸素不足、低温・高温といった実環境ならではの課題を特定・克服し、良好な生育データを取得することにも成功しています。
■本プロジェクトのさらなる推進に向けて
これまでの基礎研究で得られた知見を基に、本プロジェクトは「ラボスケール」から「実用化・事業化」のフェーズへと移行します。本事業の最大の目的は、微細藻類による燃料や化成品生産のサプライチェーン全体における最大のボトルネック、すなわち種藻の生産コストの革新に挑戦することです。
この課題を解決するため、令和7年10月からツネイシカムテックスの敷地内において、以下の2点を統合した独自の「低コスト種藻生産システム」の屋外実証を開始しています。
低コスト・ハードウェア(装置)の開発
工場のフェンス沿いや駐車場のデッドスペースといった未利用地にも設置可能な、安価で拡張性の高い独自の「パネル型屋外培養槽」を開発・設置します。
低コスト・ソフトウェア(栄養源)の活用
ツネイシカムテックスの廃棄物処理工場から排出される排ガスや廃棄物に含まれる未利用元素(CO2、窒素、リンなど)を栄養源として直接利用する培養技術を確立します。
ナンノクロロプシスは、海水で培養可能かつ高密度培養に強みを持ち、食用油脂や高機能なオメガ3脂肪酸、バイオ燃料などの生産が可能です。将来的には、このシステムを標準化し、瀬戸内地域の工場群に展開することを構想しており、本実証はその中核技術を確立する第一歩となります。
■各社の役割
本プロジェクトの推進にあたり、4社は以下の役割を担います。
ツネイシカムテックス株式会社 プロジェクト全体の統括と藻類の培養を行うと共に、実証フィールドおよび排ガスや廃棄物より得られる未利用成分(CO2、窒素、リンなど)の提供。中核技術となる「低コスト・パネル型屋外培養槽」の設計・製作を主導します。
株式会社ファイトリピッド・テクノロジーズ ナンノクロロプシスの屋外培養に関する豊富な知見に基づき、パネル型屋外培養槽の仕様策定や、屋外環境における最適な培養条件(培地組成、モニタリング手法など)の確立を技術的に主導します。
プラチナバイオ株式会社 これまでの研究を継続・発展させ、屋外の過酷な環境(高温、強光、排ガス阻害物質)に適応する高性能藻類の開発に向けた育種基盤研究を担当。ストレス環境下での遺伝子発現解析を通じてゲノム編集の標的遺伝子を探索し、将来の環境耐性株の構築を目指します。
株式会社リバネス 広島県カーボンリサイクル関連技術研究開発支援事業におけるプロジェクト全体のマネジメント。本プロジェクトの事業化に向けた推進、ならびに開発した培養システムの他地域への展開に向けた戦略立案を担います。

■今後に向けたメッセージ
本プロジェクトは、広島県の基幹産業を支える地元企業(ツネイシカムテックス)が持つ広大な実証フィールドや焼却炉から生じるCO2と、高い専門技術を持つベンチャー企業(PLT、PtBio)の技術・知見を組み合わせる、新しい「知識製造」の形です。私たちはこの連携を通じて、「廃棄物」を「資源」へと転換するカーボンリサイクルモデルを広島の地から構築し、瀬戸内地域における藻類培養の推進を加速させ、新産業の創出に貢献してまいります。


